passionseekerです。実は私が30年間働いていた職場というのは私立の中高一貫校です。会社には違いありませんが、皆さんはイメージ的に普通の会社と違うのではと感じるかもしれません。大手の塾などのが教育産業で働いた経験もありますが、結論から言って会社は会社、一般の商社と何ら変わりはありません。いえ、より組織として動くことが要求される職場といっていいでしょう。教育現場は現在ブラックなイメージが強いですが、私立の場合は経営者次第です。まぁ。大なり小なり学校はすべてブラックなものだと思っていただいて差し支えありません。
私は教師という仕事が大好きでした。教師に向いている、向いてないという言い方がされることがありますが、私は向いていたのだろうと思います。なぜなら、基本的に目の前にいる中学生や高校生とかかわることは楽しいと思えるからです。もちろん、生徒の中には家庭、人間関係等様々な問題を抱えているものがたくさんいます。何の問題も抱えていない生徒のほうが少ないかもしれません。13歳から18歳の人生で最も多感な時期の生徒たちですから当たり前です。それでも、自分が教師に向いていると思っていたのは、たとえ反発を喰うことやクレームを受けることがあっても、生徒を見くびらず一人の人間として真摯に対応すれば必ず最後には本人とも保護者とも心が通じると確信していたからです。現に私は、生徒のことで深刻なストレスを抱え込んで学校に行けなくなるということは一度もありませんでした。実際のところ、生徒にも愛されていたと思います。決してひいきしたり甘やかしたりはしませんでしたし、見た目イケメンでもありませんが(笑)。
私にとってのストレスは学校の体制=管理職の姿勢でした。前回も書きましたが、組織として動くことが組織では求められますが、学校では理事長や校長、同総会、有力クラブの顧問や保護者など様々なベクトルからの縛りが半端ないのです。派閥はないですが、それに似たような特別な仲良しグループが様々な業務に影響を与えます。実際に、教科主任をしていた際には、AさんとBさんは仲が悪いので同じ学年の授業でペアにならないようにして欲しい、といってきた方もいました。アホか?これ仕事やぞ!呆れました。校長は思い付きと思い込みでコロコロ方針を変え、理事長には頭が上がらず忖度は当たり前、気に入らない教員には恣意的な叱責とパワハラが日常的に行われ、退職する教員も。一方で、校長の取り巻きは裏では悪口を言いながらも、決して意見しようとはせず、何の改善もされない…。
でもね、何が一番ダメかっていうと、ぶつぶつ文句は言いながらもそういう体制に染まりきっている教師たちがダメなんです。恐怖でマインドコントロールされていて、次第にその状況に慣れ、気が付くと目の前の生徒たちより管理職側に忖度して動くようになってるんです。私は、校長と歳も近く、かつての彼の失敗をよく知っているせいか警戒されており、あまりあからさまなパワハラは受けませんでしたが、「この件おかしいと思いますよ」と意見すると、翌年持ち上がる予定の学年から外れるなどといった陰湿な対応もされました。武勇伝のように聞こえるかもしれませんが逆です。私は敢えて意見することで、管理職と距離を取りたかったのです。彼らに好かれて利用され、ストレスをためるリスクを回避したかったのです。
ただ、この学校だけが異常なのでしょうか?大なり小なり組織マインドコントロールはあらゆる会社にあり、雇われている立場故か、皮肉なことに意外とすんなりと順応してしまいます。まさにメンターの言われていた「従業員マインド」そのものでした。そして、それがサラリーマンらしさだと受け入れ、自分を納得させいている。あぁ、労働者が奴隷に換わっていく…。メンターは、この社会のマインドコントロールを真っ直ぐに見据え、そこから脱却することが人間らしさを回復することだと極めて明快に納得させてくれました。だから、ひっそりと、自分らしく生きていくことを決意したのです。